【初心者向け】雪山装備について
本格的に雪山登山を始めようと思ったら、合計10万円以上の装備をそろえる必要があります。今回は、まずはお金をあまりかけずに初級レベルの雪山ハイキングを始めるための最低限の装備という視点で、雪山登山装備について説明しようと思います。
※「初級」とか「中級」といった表現については、人によって意味するものが大きく異なる気がします。ここでいう初級というのは、
- 急な登りや危険な核心部がほとんどない
- ルート上に森林限界を超えた箇所が少ない
- 夏道コースタイムが5時間以下
- トレースがしっかりついていて、足が長時間雪に埋もれることがない
- または、積雪の上をスノーシューで歩くスノーシューハイキング
といった雪山登山(というよりは、もう少し軽めのスノーハイキングのようなもの)をイメージして頂ければと思います。
1. 雪山登山の基本
雪山登山の難易度は、当日の雪の状態や天候のコンディションによって大きく左右されます。また、寒さへの耐性は人によって異なりますし、雪山を歩きなれているかどうかの経験や技術によっても必要な装備も異なると思います。そのため、「この装備で〇〇山に登れました」という他人の話や活動記録などを過信しないように注意しましょう。
一人前の雪山登山者となるためには、以下のことが自分自身でできるようになる必要があります。
雪の状態の予測
八ヶ岳など、冬季も営業している山小屋が多い山域では、山小屋の方のブログやTwitterなどの情報発信も要チェックです。
事前に登るルートの確認
必要な装備の判断
現地での冷静な判断
少しずつで良いので、雪山登山を経験しながら、そういった能力を意識的に身につけていくようにしましょう。
【コラム】春の風物詩?(クリックして展開)
例年GW前になると北アルプスの一部の小屋が営業開始します。毎年、この頃の各小屋のブログには、「〇〇岳にチェーンスパイクで登れました、という他人の活動記録を信じて、チェーンスパイクだけでやってきて、滑落したり、撤退している登山者を多く見かける。」といったことが書かれています。毎年のことなので、(不謹慎ですが)個人的には春の風物詩だと思っています。特に春先は気候・気温の変動が激しく、一日を通してみても雪のコンディションは大きく変わりやすいので注意が必要です。南アルプスの甲斐駒ヶ岳にある七条小屋の管理人の方は、春先は最も事故が多い時期とおっしゃっています。個人的に、北アルプスについては、(ルートにも寄りますが)初夏ぐらいまではアイゼン・ピッケルといった装備は必携だと思っておいた方が良いと思います。
【コラム】雪山登山の学び方(クリックして展開)
「一人前の雪山登山者になるには10年かかる」なんてことが良く言われますが、私は本当にその通りだと思っています。それだけ雪のコンディションを正確に予測することは難しいです。一人前になるには、経験者と登って登山経験を積むだけでなく、時には、プロガイドが主催する講習会に出向いたり、参考書を読んだりして、雪山に対して正確な知識を身につけることも重要だと思います。私の知人に副業で登山ガイドをしている人もいますが、そういった方は、少し偏った知識を初心者に伝えていたりすることも見受けられます(もちろん、全員というわけではありませんが)。もし本格的に雪山に興味をもって学んでいきたいということであれば、雪山登山を教えるライセンスを持った本業の山岳ガイドの方から教わることをオススメします(本業でガイドをされている方は、色々な人に教えているので、偏りのない正しい知識が得られる可能性が高いと思います)。